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神々を笑わせたことからそのような

神々を笑わせたことからそのような芸事を生業とする女神である(すなわち芸人、コメディアンである)という理解が関西では先行しがちである。事実大和の賣太神社に祀られるアメノウズメは芸能の始祖神として信仰を集めている。だが、記紀の記述からは「神懸かって舞った」と読めるため、笑いをとることが彼女の踊りの目的ではなく、むしろ手弱女であるが、恥じらいをかなぐり捨て乳房を出して半裸となり、踵を股の内側にひねって地を強く踏む申楽のステップをし、股を大きく開き、腰を激しくゆり動かして、性行為、出産を連想させるポーズをとる動作をしていることが読み取れ、柔よく剛を制す、男にも勝る女の下半身の性の強さを演舞で表現したとみられる。その女相撲めいた武道的蛮勇(強女=オズメ)のエロティシズムに対して喝采が贈られ、乱闘的祭り(宴会?)の喧噪に天照大神の心が動いたと見る方が自然である。

天の岩戸の前におけるこのような彼女の行為は、神への祭礼、特に古代のシャーマン(巫)が行ったとされる神託の祭事にその原形を見ることができる。いわばアメノウズメの逸話は古代の神に仕える巫女たちの姿を今に伝えるものであると考えることができる。この場合の神とはアマテラスという神格が与えられるより以前の古い太陽神信仰であり、後に太陽神の神格がアマテラスへと置き換わった後にもアメノウズメの立場までは置き換わらなかったために現在のような神話として伝わっている、と思われる。

このことを顕著に示す事例が、岩戸神楽の原型と伝えられる宮崎県西臼杵郡高千穂町の「高千穂の夜神楽」である。この神楽では、始めに素面で男性の舞手が日本刀の剣舞をした後、後半の舞で登場するアメノウズメは、左手に笹葉を模した木の枝を、右手に幣をつけた五十鈴を持って、中国の剣舞の「刺剣」の動作をしてスピン回転をしながら舞う。アマテラスは33番の最後に夜明けに高木(外注連)に降誕する神霊(タカギムスヒノカミ)と考えられていて、舞い手の神としては最後まで登場しない。そこで大神とされるのは、大わだつみの神である。

こうした踊りは、神を慰撫し、力を回復させるための踊り(巫=神凪/かんなぎ、神座/神楽=かみくら/かぐら/かみあそび)である。一方日本書紀においては「巧みに俳優(わざおぎ)をなし」とあり、これは神の業をその身に招いて観衆を楽しませる姿を表している。このことが「俳優」の語源になっているように、神楽舞に連なるこれらの祭事は、日本の芸能の出発点となったことが確かである。

なお、ヤマト王権の大王(天皇家の祖)が行った古代の大嘗祭においても、大王家の祖神を祀る巫女たちが同様の神懸かりした激しい踊りを踊っていたということがわかっている。これは上記のような太陽神への祭事が変化したものであると考えられる。その背景は、大和王権が太陽神=アマテラスを祀りかつその子孫を標榜していたことに着目すると理解しやすい。

また天孫降臨の際にサルタヒコと応対し、その後、その名を負って猿女君を名乗ったという逸話も、サルタヒコが元々伊勢地方で崇められていた太陽神であったとされることから、アメノウズメが太陽神に使える巫女たちを神格化したものであることの証拠とも言える。猿女一族は古くから朝廷の祭祀と深く結びついていた一族であり、また猿女君は宮廷祭祀において神楽を舞うことを担当した神祇官の役職名である。

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神名の「ウズメ」の解釈には諸説あり、「強女」の意とする説や、中国風に髪を頭の上にあげ、蔦をかざし(髪をとめるピンやはちまき)にしてとめた「髻(ウズ)」を結った女性の意とする説などがある。

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2009年04月29日 14:32に投稿されたエントリーのページです。

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